Mark Morris Dance Group "THE HARD NUT"を観てきました。
マークモリスという現代の振付家さんの解釈の、現代の"くるみ割り人形"です。
NYに来た当初から、いろんなダンス仲間に「すごいよ〜」と言われてずっと見たかったので、3年越しの、念願の舞台です。
1幕目のクリスマスパーティのシーンでは、パーティ客がマイケルジャクソンのスリラーをやったり、ホストもお客から預かったマフラーの匂いを嗅いで変な顔していたり(笑)、もう役者(ダンサーですがここはあえて役者といってもいいぐらい)さんのそれぞれの演技(芸?)が細かくて、一人一人見るところ満載で、舞台から目が離せません。観客もそれぞれ別のダンサーの演技を見ているので、それぞれのタイミングで笑っていて、会場に軽く笑いが起こると、「あれ、今何を見逃しちゃったの〜??」といった感じ。パーティ会場でエッチをしてるあからさまな表現なども多々あるのですが、観客の5歳くらいの子供たち("くるみ割り人形"なので家族連れがとっても多い)もゲラゲラ笑ってます、さすがアメリカ。
ドロッセルマイヤーと"くるみ割り人形"のパドドゥ(ゲイカップル?)があったり(クラシックバレエ版の"くるみ割り人形"ではありえないですよね)や、雪や花の精の踊りも半数くらい男性だし(女性と同じチュチュの格好をしている)、アラビアの踊りではわざとこけて大受け、葦笛の踊りではバゲット(フランスパン !)を持って踊ってます。(葦笛の踊りはフランスの踊りなので)
第2幕は1幕に比べて演技的要素よりも群舞のフォーメーションなどで魅せる場面が続きます。それらの動きは裸足で行われ、モダンダンス的要素をたっぷり含んでいて、どこにもないマークモリス版でしか見ることのできない"くるみ割り人形"の世界が続きます。
"くるみ割り人形"はクラシックバレエの作品ですが、マークモリス版では、現代または素直な感覚(パーティって実はすごく面倒臭い、みたいな)を大切に、またクラシックに対するモダンダンスの意地・プライド、またはアイデンティティー的なもの、創造性を強烈に感じました。
NYCB やABT はたまに日本で公演をすると思いますので、そちらをすでに見た方はマークモリスグループ、ぜひチェクして欲しいと思います。古典版"くるみ割り人形"を知っているとさらに比較できるので楽しみが倍増します。
こんなに自由で笑える"くるみ割り人形"、アメリカ文化の良いところだな〜と感じました。
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